ヤンガラ・エステート・ヴィンヤード
Yangarra Estate Vineyard
産地:オーストラリア 南オーストラリア州、マクラーレン・ヴェイル
McLaren Vale, South Australia Australia
設立:2001年
オーナー:ジャクソン・ファミリー
醸造家:ピーター・フレイザー
自社畑:100ha
仕立て:ブッシュ・ヴァイン/VSP
歴史
ヤンガラの歴史は1946年、マクラーレン・ヴェイル、マウント・ロフ
ティ山脈麓に開墾されたグルナッシュの畑に始まります。 世界第二
次大戦から戻ったオーストラリア兵士に褒賞として土地が分配され
た際、現在のヤンガラ・エステートの地を付与されたフレデリック・
スマートが、その土地にグルナッシュを植樹したのです 。その後、
スマート・ファミリーは長い間、息子のバーナードが父親のフレデ
リックを手伝いながら、栽培農家としてマクラーレン・ヴェイルや他
の産地のワイナリーにブドウを販売してきました。
2000年、ワールドクラスのシラーズとグルナッシュに投資すること
を目的にオーストラリアのワイン事業に参画したカリフォルニアの
大手 ジャクソン・ファミリー・ワインズがスマート・ファミリーのヴィ
ンヤードに投資することを決め、その1年後、ヤンガラ・エステート
が設立されました。
広大な畑でバイオダイナミック育成されるローヌ品種
100haにおよぶヤンガラの畑は、マクラーレン・ヴェイルのサブ地区
ブルーウィット・スプリングにあり、標高150-210mに位置します。
土壌は鉄鉱石を含む砂利、堆積粘土さらに風で運ばれてきた砂質ま
で、ヴァリエーションに富んでいます。
古木のグルナッシュと若木のカリニャン、サンソー、ム ールヴェー
ドルが栽培される畑は、約50万年前、マウント・ロフティ山脈から流
れ出る水が集まってできた河川でした。そのため畑の地層深くは鉄
分を含む赤い砂質土壌で、その上層部を砂が酸化し硬く石状に変化
した鉄鉱石の土壌が覆っています。
100haある畑は35のブロックに区画され、すべてバイオダイナミッ
ク農法で育成されています。2012年、ヤンガラの畑はオーストラリ
アの認証機関 オーストラリアン・オーガニックスよりバイオダイナ
ミックスを実践する畑としてAランクに認定されました。
栽培品種:ルーサンヌ、ヴィオニエ、グルナッシュ、シラーズ、
ムールヴェードル、サンソー、カリニャン。
過度に手を加えない醸造
ブドウは自動選果機で選果し、未熟なブドウや収穫時に混入した昆
虫などはそこですべて取り除かれます。ブドウは自生酵母で発酵さ
せ、過度な抽出を行わないようステンレス製のバスケットプレスで
優しくプレスします。熟成には数年使用したニュートラルなフレン
チオーク樽を使用しています。
砂地で育つブッシュヴァイン・グルナッシュ
「ハイ・サンズ・グルナッシュ」はヤンガラの畑の特徴がもっとも表
現されるフラグシップワイン。”ザ・ビーチ”と呼ばれる、標高が高く
一面砂地の非常に痩せた土地で栽培され、株仕立て(ブッシュヴァ
イン)のグルナッシュから造られます。このグルナッシュは1946年、
ヤンガラの畑が開墾された際に植樹されたものです。
”ザ・ビーチ”には古代からの砂質地層が広がり、古木のグルナッシュ
は地中の水を求め、もがきながら力強く育ちます。ワインはタイト
に引き締まっていながら、伸びやかで、酸と糖度が調和した複雑な
味わいを醸し出します。
シングルブロック・シラーズ
「アイロンハート・シラーズ」は、12あるシラーズの区画の中で、最
も質の高いブドウが実る単一ブロックから造られます。近隣の区画
とは異なる特徴的なブドウから、鉱物的な土っぽさと鉄錆のような
複雑な風味、タンニンによるストラクチャーが織りなす個性あふれ
るワインが生まれます。「アイロンハート」の名前は、赤色を帯び
た鉄鉱石の土壌に由来しています。
2016 ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー受賞
醸造家 ピーター・フレイザーは、2016年ジェームス・ハリデイ・ワイ
ンメーカー・オブ・ザ・イヤーに選ばれました。フレイザーは、オース
トラリア、スペイン、フランス、カリフォルニアで醸造経験を重ね
た後、2000年からヤンガラのワインメーカーを務めています。
エステート・シラーズ2013
(ヤンガラ・エステート)

冷 ○ ○ ● 温
柔 ○ ● ○ 固
低 ○ ○ ● 高
小 ● ○ ○ 大
集 ● ○ ○ 拡
縦 ● ○ ○ 横
テイスター: 田中克幸
外側は少々ゴツく、酸が固く、内向的な性格で、ちょっと気難しいところもあるが、内面は穏やかな気配が満ちている。ソフトな上質なタンニンに支えられる充実した果実味。2015/10/8
テイスター: 宮地英典
以前テイスティングした際はタンニンの粗さを感じたが、僅かの間に変化を見せシルキーな質感に内包する果実味が静かに満ち満ちている。よりエレガントな成熟が楽しみなワイン。2015/10/8
GSM2013
(ヤンガラ・エステート)

冷 ○ ○ ● 温
柔 ● ○ ○ 固
低 ○ ● ○ 高
小 ● ○ ○ 大
集 ● ○ ○ 拡
縦 ○ ○ ● 横
テイスター: 田中克幸
中間色的な数々の色彩が複雑に入り組んでいながら整った味わいを生み出す複数品種ワインならではの魅力。ソフトでリッチな味で酸も尖らないが、酸の性質がイキイキとしてダレない。余韻もまとまりがよく、飲んでいて安心できる。2015/10/8
テイスター: 宮地英典
グルナッシュの丸みのある果実味が支配的だが、素晴らしく調和のとれた逸品。 凝縮感が先に立つわけでもタンニンが目立つわけでもなく、上質で丁寧な手作り感が伝わる温かみのあるワイン。思えばオーストラリアのGSMでヨーロッパ的な落ち着いた佇まいのワインを僕は多くは知らない。2015/10/8
PFシラーズ2015
(ヤンガラ・エステート)
冷 ○ ○ ● 温
柔 ● ○ ○ 固
低 ● ○ ○ 高
小 ○ ● ○ 大
集 ○ ○ ● 拡
縦 ○ ● ○ 横
テイスター: 田中克幸
亜硫酸無添加として貴重なピュアで素直な香りと、無添加ならではのどこにもひっかかりがなく極めて流麗な質感の、丸いワイン。朗らかでエネルギーに満ちた熟した果実は空気の如く軽やかで、飲んだあとに香り味ともに長く漂い続ける姿がいい。2015/10/8
評価:★★★★
テイスター: 宮地英典
色調濃いが、口に含むと明るく、軽やかに黒系果実がまろやかに広がる。 酸化防止剤を使用しないというトライは成功している。いきいきとした伸びやかさ、見ていて清々しくなる自由さがしっかりグラスのなかで調和している。失われた子供の頃の感覚を呼び戻してくれるようなワイン。2015/10/8
評価:★★★★