ワイナリー 2015.11.17

ペロ・ロンゴ Pero Longo

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ペロ・ロンゴ Pero Longo
産地:フランス コルシカ France Corse

フランス

<生産者について>
ドメーヌはコルシカ島南部フィガリから車で 30 分ほどのセラッジアに所在。 AOP はコルス・サルテーヌとなる。近くの崖上にライオンのような形をした 大きな岩があり、リオン・ド・ロカピーナと呼ばれ観光名所になってい る。ドメーヌのトレードマークやキュヴエ名には、この名物の巨岩の名前が使われている。当主 のピエール・リシャルム氏は 2 代目。1965 年にピエール氏の父親が 土地を買って農業を始めたが、当時はワインは自分たちが飲む分だけを造っていた。

1994年にドメーヌ元詰を開始。その後 2000 年からビオディナミの栽培に取り組み始め、2003 年にデメテール認証を取得した。24ha のブドウ 栽培(うち 12ha は借りている)の他に、牧畜(牛、羊、豚。いずれも食肉用)とオーベルジュを手掛けており、これらもドメーヌの収入源 となっている。

<栽培について>
現当主のピエール氏がビオディナミ栽培に興味を持ったのは、土壌微生物学の世界的な権威である Claude Bourguignon / クロード・ブルギニョン氏の講演を聞いたのが契機 だった。「彼はとくにビオロジック栽培を勧めたわけではなかったのだが、農薬や化学肥料を 使わないブドウ畑の根の断面を見て驚いた。根が3~4m の長さにのび、栄養を吸い込 んでいる。植物の力はすごいものだと思った」と、ピエール氏。その後すぐにビオディナミ栽培 を志向。ビオロジック栽培を経てからビオディナミ栽培に取り組む生産者も少なくないなか で、最初からビオディナミに傾倒した理由について、「有害な何かを使わないというだけではなく、もっとその先をめざすべきだと感じた」と語る。
ビオディナミに転換した畑の土は、徐々に微生物の働きが活発になり、よい雑草が生え始めた。ブドウ樹の葉が自然に風を通すようにつき はじめ、病気にかかりにくくなった。ペロ・ロンゴの畑は標高約 45m と低く、海まで5kmと近いため、朝晩 は海から湿った空気が流れてくる。夏の朝6時の気温が9°C、日中は 30°C前後と寒暖差が激しいの
も特徴だ。湿った空気は乾燥にあえぐブドウに水分を与えてくれるが、涼しい時期は湿気により病気に かかりやすくなる。ブドウ樹は環境に合わせて、自ら葉と葉の間隔をあけるように調整しているのだ。
ビオディナミ栽培なので、無農薬、無化学肥料栽培であることは前提で、牛糞を牛の角に詰めて土 中の微生物の働きを活発にするプレパラシオン 500 番、光合成を盛んにする水晶の粉末 501 番、土 が乾いた時に使うというイラクサなどの調剤 504 番、その他カモミールなどのハーブティーや天然の硫黄を 使う。この硫黄は、イタリアから取り寄せた火山性の硫黄だ。12~3月は羊を畑に離して雑草を食べ させ、糞は自然な肥料となる。(なお、これら羊は食用として出荷される)。

<ブドウ樹の力を活かす畑>
畑に植わるブドウ品種は、ニエルチオ、チャカレロ、ヴェルメンティーノなど。

地場品種で造りたいという考えから 90 年代以降にピエール氏が新たに植えたり、父の植え た国際品種に地場品種を接ぎ木したブドウが多い。特筆すべき栽培の特徴がい くつかある。まずは、いくつかのブドウ樹は自根であること。ブドウの枝を1本、長く 伸ばしてそれを地面に植える。埋めた枝から根が生え、1本の樹として育つと今度は枝を切り離す。一般的にはマルコタージュ、ブドウの樹にたいしてはプロヴィナージュと呼ばれる方法で、埋めた枝に接ぎ木は しないので自根となる。ペロ・ロンゴの畑は、南コルシカに典型的な花崗岩土壌だが、硬く固まっておらずにさらさらと細かくなっており、 フィロキラの懸念がないからこそ、可能な方法だ(フィロキセラは砂によって背中が傷つくので、砂地では生きられない)。また、若木を直接 植えるよりも、親木の力を借りながら芽を伸ばすことができるので、若くても丈夫で、早くブドウを実らせることができる。 剪定は冬季のみ。 「葉が出始めてからの剪定は絶対にしない。紐の間に入れると、適当な高さでからみつく」。収量を落とすためのグリーン・ハーベストも必要と しない。肥料をやってないから、収量は自然に落ちる。

<醸造について>
醸造方法には、栽培面よりも生産者の考え方や性格がよく現れる。ピエール 氏は「ワイン造りには畑での仕事がすべて」と言いつつ、醸造面でもしっかりとした 哲学を持っている。ワイン造りだけではなく、農業や畜産に長くかかわってきたピ エール氏は、ビオディナミ農法をそのまま鵜呑みにせずに、まず自分の頭で考え て合理的な判断を下す。奥方曰く「何でも自分で造ってしまおうと考える技術 者タイプ」とのこと。 醸造面でもっとも面白いのは、卵型タンクの使い方とSO2 の使い方だ。対流が自然に起きる卵型タンクだが、ペロ・ロンゴは横置きに使用
する。その理由は「鶏が産み落とした卵は横に寝た状態。縦にしたら自然じゃない」から。しかも、卵型タンクは自家製である。赤と白のキュ ヴェに使うが、対流が自然に起きるのでバトナージュを行なわい。ワインは全てのキュヴェで SO2 の量が非常に少ない。ピエール氏自身も SO2 に弱い体質であるため、できるだけ量を減らしたいのだが、ゼロにすると品質に不安があるので、イタリアから取り寄せた天然硫黄を、 水に溶かしたり、酸素と反応させて煙にしたりしながら栽培と醸造に使っている。通常の液体状のSO2と比べて非常に調整が難しいため、 コルシカのビオディナミ生産者でも醸造にこの硫黄を使っているドメーヌはペロ・ロンゴのみ。また、硫黄は一度に加えずに徐々に加えて「ワイ ンに情報を伝えることが大切」だという。

ペロ・ロンゴのオンラインショップはコチラ

Sérénité AOP Corse Sarténe
品種:ヴェルメンティーノ 100%
醸造:手摘み収穫後 12°Cまで冷水チューブで冷やす。マセラシオン・ペリキュレール後、圧搾し、卵タンクにて発酵。 約9カ月後に瓶詰。
自然酵母発酵、ノンフィルター、清澄剤不使用。酸化防止剤として天然の硫黄使用。収量 35hl/ha。 特徴:熟した洋梨などリッチなフルーツの味わいがあり、最後にかすかに塩味が残る。白い花の香りも印象的。アルコー ル度数は高いが、感じさせない。

Lion de Roccapina Blanc AOP Corse Sarténe
品種:ヴェルメンティーノ 100%
醸造:手摘み収穫後、12°Cまで冷水チューブで冷やす。樽発酵、樽熟成するため、より熟したブドウを使用。
そのた め、収穫開始後セレニテより 15~20 日ほど後のより熟したブドウを使う。
樽はブルゴーニュのトネリエ Rousseau 社の もの。
自然酵母発酵、ノンフィルター、清澄剤不使用。酸化防止剤として天然の硫黄使用。
特徴:酸はさほどないが、白桃やパイナップルを思わせる、やわらかくリッチな味わいが好ましい。重量感がある。花崗岩 土壌と海の側というサルテーヌのテロワールがよく表現されている。
エチケットには、ライオンの形をした岩「リオン・ド・ロカピ ーナ」が象られている。

Equilibre AOP Corse Sarténe
品種:40%ニエルチオ 40%チャカレロ 20%グルナッシュ
醸造:30 日間のマセラシオンの後、アルコール発酵。ルモンタージュとデレスタージュ。セメントタンクにて 18 ヵ月間熟成。
自然酵母発酵、ノンフィルター、清澄剤不使用。酸化防止剤として天然の硫黄使用。 特徴:プラム、熟したザクロなど、飲むたびに異なる赤果実を感じるが、一貫してジューシー。やわらかいが、質感は詰 まっていて、アルコール感もないのでエレガント。余韻が長い。


Lion de Roccapina Rouge AOP Corse Sarténe
品種:80%チャカレロ 20%ニエルチオ
醸造:マセラシオン 30 日後、アルコール発酵。卵型タンクを使用しているので、ルモンタージュやデレスタージュの必要な し。15~18 ヵ月の樽熟成のものとブレンド。自然酵母発酵、ノンフィルター、清澄剤不使用。酸化防止剤として天然 の硫黄使用。 特徴:ダークチェリーやカシスなどの黒果実の味わいと香り。凝縮感はあるが、同時になめらかさもある。卵型タンクの影 響か、中身がみっちり詰まっている。

Esprit de la Terre AOP Corse Sarténe
品種:80%ニエルチオ 20%チャカレロ
醸造:マセラシオン 30 日後、アルコール発酵。卵型タンクを使用しているので、ルモンタージュやデレスタージュの必要な し。15~18 ヵ月の樽熟成のものとブレンド。自然酵母発酵、ノンフィルター、清澄剤不使用。酸化防止剤として天然 の硫黄使用。 特徴:最も力強く、肉のような質感やスパイシーさを感じさせる。しかし他のキュヴェと同様に硬さはない。白コショウやタ イムなど、刺激的なハーブの香りが印象的。

コルス・サルテーヌ・エスプリ・ド・ラ・テール2014

(ペロ・ロンゴ)

Ed Terre
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テイスター: 田中克幸

堂々たる存在感。甘みのある濃密な果実が広がりつつ、緊密なタンニンと膨大なミネラルが引き締め、最初上に広がりつつ、あとで下方向にずしんとした柱を打ち立てるかのような、押し引き・膨脹収斂等の力の動きのスケールが大きいワイン。2015/10/8

評価:★★★★★

テイスター: 宮地英典

凝縮感、内に秘めるエネルギーは圧倒的。密度ある果実味、奇麗にちりばめられたタンニンとの構成が美しい。素晴らしいワインは陰と陽を併せ持っていると考えるが、コルシカというマイナー産地でこういったワインが産み出されている事を多くの人に知ってほしい。こうしたワインの熟成を僕はまだ知らない。2015/10/8

評価:★★★★★

コルス・サルテーヌ・ブラン・セレニテ2014

(ペロ・ロンゴ)

serenite
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テイスター: 田中克幸

厚みと粘りがあるコルシカの白ならではのボリューム感。とても低い酸と高いアルコールだがそれを感じさせず、ミネラルの骨格がしっかりと芯を形作って、重たくダレずに堂々たる余韻に続く。温かい南国の香りも複雑で力強い。2015/10/8

評価:★★★★+

テイスター: 宮地英典

美しく金色に輝く色合い。粘度のある質感ながら重たくは感じさせず、外交的で明るく元気づけられるようなエネルギッシュなキャラクターが個性として全ての要素をポジティブにまとめあげている。二人で楽しむ食事に明るい彩りを与えてくれるワイン。2015/10/8

評価:★★★★+

コルス・サルテーヌ・ルージュ・エキリブル2013

(ペロ・ロンゴ)

Equilibre
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テイスター: 田中克幸

温暖乾燥のサルテーヌとしては内向的で暗めの味。この地のシャカレッル品種独特の魅力といえる赤系果実のふくよかさと芯のミネラル感と長く続く華やかな残り香。

評価:★★★+

テイスター: 宮地英典

色調、のびやかに感じる華やかな赤系果実の裏に力強くひそむ野趣、土の香り、スパイスのアクセントが性格をカタチつくっている。余韻はながく滋味深い。

評価:★★★+

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