Column 2019.11.06

ルネサンス・デ・ザペラシオン試飲会でのセミナー

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ビオディナミワインの精鋭、世界のワイナリーの中でも最高レベルの生産者が集まるグループ、ルネサンス・デ・ザペラシオン。十年ぶりにその試飲会が東京のフランス大使館で行われた。

11時からニコラ・ジョリーのセミナー、「ビオディナミとは何か」。私は通訳の大任を仰せつかった。9時半に大使館で打ち合わせ、と言われ、自分としては大変に早起きして行ったのだが、ニコラ・ジョリーはあちこちで参加生産者と立ち話していて、打ち合わせなど出来ない。最後の30分は質疑応答ということぐらいしか決められず。つまり出たとこ勝負。通訳する身としてはつらい状況だ。普通のワインプレゼンテーションなら簡単な語彙で私ごときでも出来るのだが、ビオディナミの哲学の話なのだからなおさら難しい。

大事なポイントは、1、ワインは個別的な土地の特徴を表現するものであり、セラーで作るものではない。飲みては総体としてのワインを要素分解的ではなく全的統合体として味わい、個別的土地の特徴すなわちアペラシオンを看取しなければならない。2、ビオディナミとは、物質的現象世界の背後にあるフォースのバランスをワインに体現させること。

ニコラ・ジョリーはセミナーの感想として、「参加者が、よく理解出来た、と言っていた。そう言われるのは珍しい」。それは良かった。事前に、いつもみたく各論技術論に走るな、本質論から逸れるな、とクギを刺しておいたのがよかったのか、適当に意訳したのがわかり易かったのかも。しかし意訳するには元々の彼の考えをそれなりに知っていないといけない。そこは長年の付き合いとメールでの議論のおかげだ。

木曜日の日本橋浜町ワインサロンでのニコラ・ジョリーのセミナーは、ビオディナミの知識レベルが高い人に向けて、もう少し踏み込んだ話もするらしい。参加される方は是非予習を。

それにしても今回のセミナーは即時満席。試飲会も満席。コーディネートしたワインコンプレックスの方は、沢山の人から何とかなりませんかと頼まれてもフランス大使館のセキュリティの問題から制限があって断るしかなく心苦しい、と言われていた。また彼らに来てもらうしかない。

ともあれ、ヘッポコナチュラルワインが過剰にもてはやされる異常な日本で、キチンとビオディナミワインについて学び、経験出来る機会を設けていただき、ありがたいと思う。

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