Column 2016.06.29

南コルシカのビオディナミ代表 ペロ・ロンゴ

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※現当主のピエール・リシャルム氏は2代目。1965年にピエール氏の父親が土地を買って農業を始めたが、当時はワインは自分たちが飲む分だけを造っていました。ビオディナミ栽培のスタートは2000年。認証取得は2003年。

2015年に南コルシカの幾つかのワイナリーが輸入された際、ほとんどのアペラシオンは聞き覚えがありませんでした。私自身コルシカといえばパトリモニオやカップ・コルスという印象しかなく、日本で出版されている本を見ても産地が紹介されているだけの寂しい内容だったことを覚えています。

そのなかでルネッサンス・ド・アペラシオン(ニコラ・ジョリーの主催するビオディナミを支持する生産者団体)にも所属すると聞いて気をひかれたのがこのペロ・ロンゴ。

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AOPコルス・サルテーヌのエントリー・レンジ「エキリブル・ルージュ」を飲んでみると熱い地域(地中海性気候で夏季は36℃を超える)のイメージとは違い、アルコールを感じないエレガントなスタイル。ビオディナミを長く続けているからか質感は柔らかい。果実のニュアンスも赤いベリーやザクロといった酸のある印象。輪郭もはっきりしている。

”造り”の特徴として興味深いのは卵型タンクの使用(写真の通り横置き。この方が自然なカタチとの事)とイタリアから取り寄せるという天然硫黄を酸化防止剤として使用しているという事でしょうか。通常の液体状の酸化防止剤より調整が難しいためコルシカでも天然硫黄の使用はここ1軒にとどまっています。

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そして一部の葡萄樹は接ぎ木をしない自根。南コルシカは花崗岩土壌で知られていますが、ペロ・ロンゴの畑は砂状でフィロキセラが生息できないため、接ぎ木をする必要がありません。

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ブドウ品種は赤はシャッカレル(チャカレロとも発音。教本などではスキアカレロですが、現地では通じない)、ニエルチオで南コルシカのなかで誤解を恐れず言えば、ブルゴーニュ好きに飲んでみてほしいワイン。ヴェルメンティーノから造られる白ワインはビオディナミの成功した際の内包しているエネルギー感が大きな、まるで人を元気づけてくれるような明るい個性を持ったワインです。

フランスワインとしては最後に輸入されてきた南コルシカのなかでコルス・サルテーヌは生産量は決して多くないものの(180haを10軒のワイナリーが所有している)、洗練されたフランスらしさとスケール感のあるエネルギッシュさは日本に定着してほしい産地です。

そして南コルシカを紹介するにあたり、この産地の感動できる1本としてご紹介したいと思います。

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