Column 2016.07.05

イタリア最北のスパークリング ハーダーブルグ

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※ポキのワイナリーの周囲にある5・5ヘクタールの畑はハウスマンホフと呼ばれ、ピノ・ネーロ、シャルドネ、ソーヴィニヨンが植えられている。夕刻に訪れたが、他の場所に日が当たっているのに、ここは日陰。

 すぐ先にトレンティーノのメッツォロンバルドの町が見えるアルト・アディジェの最南端、サロルノのポキ集落にあるワイナリー。この地で代々続くブドウとリンゴの農家だったがワイン生産に専業化し、初ヴィンテージは1976年だ。2009年に一部の畑でオーガニック認証を取得。これは「アルト・アディジェでは最初期のひとり」だと、ワインメーカーのパオラ・テナリアさんは言う。2012年からはすべての畑のワインがオーガニック認証を受けており、ビオディナミも取り入れている。

※スプマンテは、ブリュット、パ・ドゼ、ロゼ、ハウスマンホフの4種類がある。最もベーシックなブリュットは85%シャルドネ、15%ピノ・ネーロで、この出来が素晴らしい。

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 「イタリアではハーダーブルグは有名なクラシコ製法のスプマンテ生産者」。だがアルト・アディジェの泡は日本ではまったくと言っていいほど知られていない。フェッラーリやロターリのブランドのおかげで知名度が高い泡のみのアペラシオン、トレントDOCを擁するトレンティーノとは認知度が違う。「隣がトレンティーノなのだから、ここでも良質なスパークリングが出来て当然」と言うとおり、標高の高い斜面、石灰岩土壌、涼しい気候等を考えれば、この地のポテンシャルは大きそうだ。

 畑を見ると西からやや北に向いており、日照が豊かとはいえない。それがスパークリングワインには好都合なのだろう。かのグラン・クリュ・ヴェルズネイを思い起こして欲しい。スティルのピノ・ネーロ、ハウスマンホフ・ズュートチロル・ブラウブルグンダーを飲んでみると、固く、小さく、酸が強く、若干泥臭く、興味深いとはいえ、コトー・シャンプノワ的だ。しかし同じ畑のピノ主体(ピノ6割、シャルドネ4割)のスプマンテ・ロゼを飲むと、ずっとスケールが大きく、余韻も長く、ポジティブな力強さがある。ハーダーブルグは明らかにスプマンテの生産者だ。この地にはスパークリングが向くと考えたオーナーのアロイス・オクセンライターさんの慧眼に感心する。

※畑はハウスマンホフの他、2000年に取得した、アイザックタールのオーバーマイルホフ2・9ヘクタール。ここからはシルヴァネル、リースリング、ゲヴルツトラミナーが造られる。

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 フラッグシップワインはシャルドネ100%のヴィンテージ、2005年。熟成したブラン・ド・ブランに期待したい白トリュフやローストしたナッツの香りがあり、姿かたちが整って(これは2005年ならではの美点だ)、きめ細かいミネラルが散りばめられた、品格あるワインだ。しかし華麗、優美といった方向性ではなく、アロト・アディジェらしく、がっしり緊密で、ダークな気配もある。これはイタリアを代表する泡のひとつとして数えていいだろう。

※瓶熟成期間は、ブリュットとロゼが2年、パ・ドゼが3年、ハウスマンホフが8年以上。

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 通常なら私はほとんど例外なくドザージュなしのワインが一番好きなのだが、ここでは違う。パ・ドゼは表情が硬く、ベースは2011年だから酸が低い。個人的に一番好きなのは、そして実際に買ってきたのは、ベーシックなブリュットだ。とはいえドザージュは6グラムと少なめ。ベース・ヴィンテージは2012年で、pH3・18という数値はスパークリングワインにはちょうどいい酸だと思うし、この年らしい明るいのびやかさがアルト・アディジェの堅牢さとちょうどよいバランスを取っているのかもしれない。

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