Column 2015.11.28

シャンパーニュ生産者デュヴォー・インタビュー Jean Noel Girard(Devaux) Interview

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田中:こんにちは、田中克幸です。今日はシャンパーニュ・メゾン、デュヴォーの輸出責任者、ジャン・ノエル・ジラールさんにお話を伺います。

ジャン:こんにちは。ジャン・ノエル・ジラールです。デュヴォーはシャンパーニュ地方、コート・ド・バールにある組合です。主にこの地域のピノ・ノワールとシャルドネを使っています。高名なモングーのシャルドネも使用します。

田中:デュヴォーのワインをテイスティングするのは今日が初めてです。コート・ド・バールには何度も行っていて、そちらの大きな看板を右手に見ながらいつも通りすぎていて。大量生産の並のワインだろうな、と思っていました。けどその先入観はワインをテイスティングしたところ間違いだったと気づきましたよ。フルーティーな完熟感はいかにもオーブで、それに加えて酸がしっかりして、形が垂直的。一番驚いたのはワインの持つミネラリティー。その理由を彼に訊いたら、15年前に除草剤散布をやめたとか。それでこそしっかりテロワールの味が表現できるのですね。あなたはこのシャンパーニュの特徴をどう考えていますか。

ジャン:なんといってもリッチな完熟感ある果実味。コート・ド・バールの特筆しておきたい点は、もともと古くからのピノ・ノワールの産地だということ。もちろんシャルドネも良いものが育ちますが。南のリセーのピノ・ノワールはワインにストラクチャーをもたらし、北東のピノ・ノワールはデリケートな味わいを表現してくれる。ピノ・ノワールだからといってリッチでスケールのあるワインになるだけではなく、フレッシュさがあり、そしてそれがもたらす長期熟成可能性を重視しているのが私たちのワイン造り。私たちはシャンパーニュのなかでもとりわけ多彩な環境の畑を持っています。

田中:コート・ド・バールの南側は、ぽってりとしてルーズな味わいのシャンパーニュ、といったイメージを持っている人も多いかもしれない。けど、このワインは違う。こんなワインを造ることができるワインメーカーについて教えてほしい。

ジャン:ミシェルはいつもベストを尽くしてくれる。最高の仲間だよ。ワインの複雑さはテロワールとブドウや醸造、熟成のプロセスだけでは産まれない。もちろん熟成は大切で最低5年は費やす。何故5年の熟成のあとでもこんなにフレッシュかって? まずフリーランのジュースしか僕らは使わない。タイユは酸が低いから。そしてベースワインは3種類の造り方がある。ステンレスでマロラクティック発酵するもの。ステンレスでマロラクティックしないもの。そして樽でマロラクティックしないもの。ひとつの畑からでさえ3種類のワインを造る場合もある。こうしてフレッシュさ、複雑さ、エレガンスを調和させる。だからとってもフードフレンドリーだし、TPOを選ばない万能タイプだ。何かひとつでも突出した要素があるとアンバランスになるでしょう?

田中:ホント、バランス感に驚かされますね。味わいを口の真ん中で感じて垂直に抜けていく。そして基礎のしっかりしたビルみたいに地に足が着いている。そして、味わいの広がりも申し分ない。大きな協同組合ならではのアドバンテージは色々な性格の区画を持っている事だと思う。そしてそれをまとめあげているワインメーカーのスキルとセンスに敬服します。

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