コラム 2015.11.15

座談会 ロゼっていったいなんなのか? vol.2

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座談会 ロゼっていったいなんなのか? vol.1はこちらへどうぞ

安くておいしいロゼとは??

田中:個人的に印象に残っているおいしいロゼは、ポンソが1999年に例外的に造ったロゼや、同じ年のルーミエのロゼ。アペラシオンとしては地域名かも知れないが、前者の中身はクロ・ド・ラ・ロッシュのブドウだし、後者はボンヌ・マールやレザムルーズやリュショットやシャルム・シャンベルタンだった。つまり、最上のテロワールからのワイン。

ワインの根本的な質がテロワールで決まることは今では議論の余地がない。ここでは赤かロゼかはたいした問題ではない。しかしロゼのほうが安い。現代の例ではボルドーのシャトー・ラフォン・ロシェが造ったラフォン・ロゼが素晴らしい。

篠原:一流生産者のスピンオフ的ワインは、消費者にはラッキーだね。こうした目利きワイン、お宝ワインがロゼにはあると思う。

田中:ワインをわかっている人ほど、お買い得なロゼに出会える可能性があるということ。。

宮地:たしかに、優良生産者のスピンオフはアリですね。

田中:ロゼは樽を使わず安くでき、熟成しなくてもいい。若い点に良さがあり、価値がある。しかし、中身は高品質。

宮地:セラーを持っていない人(日本の一般的な家庭にはスペースをとるワインセラーは向かないのでは?)には、フレッシュな状態がおいしく、かつコスパのいいロゼは嬉しいもの。

 

田中:中世においてワインは若くてフレッシュなほど高く売れた。ワインはフレッシュなのが伝統的で、ブドウらしさを味わうものだったのではないのか。赤ワインの熟成感と樽風味を良質の証とするのは近代以降の発想ではないのか。つまりフレッシュなロゼが低質で熟成した赤が上質というのは誰かに誘導された思い込みであって、純粋に恣意的だと言えるのではないのか。篠原さんなら重々お分かりのとおり、オーストリアの赤とか、熟成期間の長いリザーブタイプのワインの方がおいしくない例も多い。

篠原: しかしそう思うのは我々が日本人だからかも知れない。余計なものがない方がおいしい。日本茶に何も入れないのと同じようにね。足し算の良さもあるが、引き算もあっていい。

宮地: ロゼは引き算のワイン。色もない、タンニンもない、酸もない、樽もない。ないないづくし。

篠原: それが日本的な美学なのではないのか。余計なものを抜きさったあとに残る本質的な美を味わうワインがロゼ。

田中: しかしそれが実感としてわかるためにはふつうある程度の経験が必要かもしれない。何が余計だか、何がテロワールの味だか、最初から分かる人はいない。だから玄人でないとなかなか美味しいロゼワインに出会えない。

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具体例を考える

タヴェル】(仏ローヌ)

田中:今の主流となっているロゼはプロヴァンスの大半がそうなように、直接圧搾法による薄いピンク色をした白ワインといったもの。しかしロゼだけのアペラシオンとして歴史的にも重要なタヴェルは違う。じゅうぶんなマセラシオンをして色も濃く、風味も赤ワイン的で、薄い赤ワイン、軽い赤ワインとしてのロゼというべき存在だ。それこそ今望まれている味わいのジャンルではないのかと思う。タヴェルのほとんどは混植混醸で、白ブドウも混ざっているし、砂・砂利・石灰という三つの土壌ゆえに複雑。リッチさがありつつ、フローラルで伸びやかだ。

宮地:幕の内弁当的ワイン(笑)。

田中:それにタヴェルの栽培面積の1/4が認証オーガニック。産地の意識はすごく高い。

宮地:タヴェルには白ワインにない複雑さがあり、かつ軽やかさもある。

田中:十数年前にタヴェルを飲んでうっとうしくて重くてまずいと思い、それからタヴェルを飲んでいないという人も多いだろうが、今のタヴェルは昔とは違う。味噌味の魚の鍋に勧めたい。鍋はいろいろな味が溶け合っている料理で、だから単一品種ワインより複数品種ワインのほうがいい。

【バンドール】(仏プロヴァンス)

田中:鼻腔に抜けるような味わいという意味では典型的なプロヴァンスのロゼ。しかし、バンドールには横の広がりがあってスケールが大きい。だから良質な食材、例えば銘柄鶏の料理にソースを添えたものなどを合わせると良い。

宮地:バンドールのロゼは、一般的なプロヴァンス・ロゼとは違うベクトルの赤ワイン的なロゼ。アペラシオンの信頼性が、良い取っ掛かりになる。

篠原:バンドールのロゼならメイン料理に合わせられる。だてに「クリュ」ではない。

宮地:でも、普段使い、家庭向きじゃないかもしれない。

篠原:レストランでもオンリストされているからね。

宮地:それでも、ワイン単体のおいしさに出合いたいよね。明るく、やわらかい。でも、厳格さを内包している。

田中:このワインは海から畑が近いが、バンドールのなかには標高が高い場所も多く、全体としては案外と山の雰囲気がある。バンドールという町は確かに海リゾートだが、バンドールというワインはそのイメージに引っ張られて飲むとズレてしまう。

宮地:バンドールのロゼは、明るくワイワイ飲むもよし、一人でもの思いにふける陰影も持ち合わせている。

篠原: その多面性・複雑性がグラン・ヴァンたるあかし。ロゼ=初心者向けのカジュアル低価格ワイン、ではないということが最もよく分かるロゼだろう。

まとめ

こうして数々のロゼワインのなかからおススメしたいロゼワインはひとまずタヴェルとバンドールが選ばれました。

日本では馴染みの薄いロゼワインもフランスやアメリカでは爆発的なブーム。せっかく美味しいロゼワインが輸入されているんだから楽しまないともったいない。そんな想いでワイン評論家田中克幸さんと篠原直樹さんをお迎えして座談会のひと時を過ごしました。厳選のロゼワインがワイン情報と合わせて毎月2本ご自宅に届く、定期購入サービス「Pink+(ピンクプラス)」のお申込みをお待ちしております。

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