コラム 2016.01.24

泡のあるワイン 座談会Vol.6

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セッコNV/マティアス・ハーガー

田中:これは、カンプタールのビオディナミ生産者の地元消費向けワインです。品種はツヴァイゲルトで炭酸ガス注入方式。この方式のいい感じが出てます。そしてとにかく安い!アルコール度数は11%、残糖は11g。

宮地:あれ?11gでセッコになるんですか?

田中:ああ、ドイツやオーストリアではセッコは辛口の意味ではなく、プロセッコもどきの安直スパークリングのことです。シャンパーニュ絶対主義的視点からすれば、プロセッコだってちゃちなワインだと思われがちなのに、セッコはプロセッコの人気にあやかろうとしているようなワインなんですよ。さらにプロセッコはシャルマ方式だけど、これはガス注入方式。話だけ聞いたら、どうしようもないワインみたいですけど、飲んでみれば分かるとおり、おいしいんです。去年飲んだワインの中でもトップレベルに好きなワイン。ミネラル感も酸も力強いし、余韻も長い。さすがビオディナミですし、さすがカンプタールです。

八田:黒ブドウだから、いい感じの収斂性がある。しかしガスは弱めですね。

宮地:炭酸ガス注入方式でこれ以上ガス圧高いと、ガス味が支配的になりそう。僕も色んなワインがあっていいと思うのですが、例えばピッツェリアで飲むフリザンテが好きなんです。日本も「目指せブルゴーニュ、ボルドーシャンパーニュ」じゃなくて、自然体で楽しい泡を造ってくれればいい。

田中:さくらスパークもそうだけど、遊び心が大事です。日常を楽しくしてくれるワインが必要なんです。

八田:これ、オーセンティックなところから言えば規格外です。僕は最近ヴァンナチュール一辺倒な訳ですけども、かつての自分ならこれは受け付けなかったかもしれない。違う、規格外だと。今は間口が広くなってるから、自然に美味しいと思える。

田中:私はこのワインに、シュタイナーの国であるオーストリアの懐の深さを感じます。屁理屈抜きに普通においしいビオディナミ。

宮地:まぁこういうワインが普通に流通するようになった時、日本のワインマーケットは成熟したといえるのかもしれません。

田中:そう、そうなってほしいと思う。ああうまい。焼き鳥に合いそうだ。五反田の駅前の店とかで出して欲しいな。なんで五反田なのかはつっこまないで(笑)。

八田:グラスは何を選ぶべきなのでしょうか?

田中:コップですよ。そこらへんの。

八田:香りを楽しむって言うのと、味わいを楽しむって言うのがあると思うのですが、これは後者のワインです。

田中:ツヴァイゲルトは香り本位のブドウではない。だからコップのほうがいい。ま、これは産地や品種や値段や名前に囚われなくなるぐらいワインをたくさん飲んでいる人ほど分かる味でしょうね。ああそれにしてもうまい。

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