コラム 2016.01.24

泡のあるワイン 座談会Vol.4

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ブルゴーニュ・ムスー・ルージュNV/ルネ・ジョルジュ

八田:これは美味しいですね。

宮地:ブルゴーニュで伝統的なワインでありながら忘れ去られつつあるワインのひとつにムスー・ルージュがある。

田中:ムスー・ルージュが伝統的といっていいのかな?

宮地:昔から造られていたとされているけど、ほとんど知られてないですよね。

田中:クレマン・ド・ブルゴーニュよりは古くからあるアペラシオン。けど3人ぐらいしか生産者がいないはず。ひとりの生産者にそう聞いた。

八田:こんなに面白いワインなのに?

田中:ブルゴーニュ委員会のホームページにブルゴーニュ・ムスー・ルージュの栽培面積の数字が書いていないぐらい少ない。

宮地:向こうとしても公表すらしてない。

八田:おー、幻ワイン?

宮地:薄めの赤ワイン、余韻は長い。偉大なワインではないけれど。

田中:これはオート・コートのブドウですか?黒系のスパイシーさが泡と相まって心地よい。ミネラル感が際立っている。無理して固い赤ワインにするよりずっといい。

宮地:公表してないですけどサヴィニー・ヴィラージュを混ぜています。

八田:すごくチャーミングですが、輪郭がはっきりしている。

宮地:シャルマ方式なので、クレマンより緩いルールでしょうね。

田中:いいのよ、シャルマでいい。シャルマは悪くない。

八田:今日はだいたいその論調ですよね。

田中:そう。シャンパーニュの製法がシャンパーニュ地方で成功したからといって、その製法が他の土地でも成功するとは限らない。自明じゃないですか。どのテロワール、どのブドウでもシャンパーニュ製法が優れていると考えるのは論理の飛躍です。

宮地:世界中のスパークの裏ラベルにはトラディショナル方式と書いてありますが、成功例は多くはないですよね。

田中:フルーティーさと泡の良さの双方を生かすという目的のためには、シャルマ方式は素晴らしい。芳香性品種やフルーティさが取り柄のテロワールの泡なら、シャルマがいい。

宮地:泡のワイン、澱のワインのあいだに序列はないということですよね。

田中:酸がある品種のほうがない品種よりいいのか。温かい砂地は冷たいチョークよりダメな土地なのか。そんなことはない。自然はそれぞれ魅力があるわけで、それを生かす方法を考えて採用するのが人間の責任でしょう。シャルマ方式ファンとしては言っておきたいのですが、この製法は発明者にきちんと敬意を表してマルティノッティ・シャルマ方式と言うべき。マルティノッティはアスティの人です。アスティの澱タイプって意味があると思いますか。産地とブドウの要請を考えたら、まさに彼は正しい発明をしたのです。

宮地:日本を省みるに、良質のスパークリングをより多く市場にいきわたらせるためには、スティルワインを持っていったら泡に仕上げてくれる環境があればいいと思う。

田中:そうなんだよ!個々人で泡を造ろうとしても設備投資が巨額で無理。瓶内二次発酵方式はやろうと思えば手作業でできるからなんとかなるが、シャルマ・タンクは超高価。だからドイツ方式を採用するべきです。つまり各生産地区にスティルをスパークリングにしてくれるワイナリーがあるという環境。これがあれば、瓶内二次発酵タイプか炭酸ガス注入タイプかという二つしか選択肢がない状況が解決できる。

八田:瓶内二次発酵の絶対視は改善されるべき。我々が見てきたように泡のアドバンテージは明らかなのだから、その泡のよさを皆に知ってもらうには生産コストを下げないといけない。

田中:ビジネスチャンスと見れば、投資する人も出てくるかもしれませんよ。

宮地:日本でワイン法に関して様々な議論がなされていますが、クレマン・ド・ブルゴーニュよりもブルゴーニュ・ムスー・ルージュやさくらスパークリングに学ぶところが多いということです。ちなみにこちらは希望小売り価格¥3500。

田中:お買い得やねん、コレ。

八田:いまどきリージョナルでもすぐ¥5000超えてきますもんね。

田中:この前高島屋の地下で試飲販売していたのだけど、ネゴシアンのヴィラージュで1万円超え。「お惣菜天ぷら買ったから、美味しいワインあるかしら?じゃあこちらのシャンボール1本1万円で頂こうかしら」って、そりゃおかしいだろ??それだったら高い天ぷら屋に行けるよ。

宮地:日本人の食卓を考える上で赤のスパークリングは可能性大です。泡があると料理に合わせやすくなるのは事実ですし、日本は赤ワイン主流ですし、家庭でも居酒屋とかでも、カジュアルな赤のスパークリングはもっと飲まれてもいいと思いますよ。

泡のあるワイン 座談会Vol.5に続く

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