コラム 2016.01.05

【ドイツ/ザーレ・ウンストルートのワイナリー】まだ若き小規模生産者「ヘイ」

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※二代目となるマティアス・ヘイさん。クリエイティブな発想でワインを造る才能ある若手だ。

ヘイ

 ザーレ・ウンストルート最後の訪問先は、ヘイ。2001年に創業された、5ヘクタールの小さな生産者だ。

 家の裏のSteinmeister畑に植えられたツヴァイゲルトのワインが第一のお勧めだ。氷点下33度にまで下がった1987年の冬に村のブドウの半分が枯れてしまったが、そのあとに植えられた。土壌は三畳紀のムシェルカルクゆえ、ツヴァイゲルトのフルーティさにくっきりとした酸を加えて、素晴らしいバランス。白コショウやハーブを感じる抜けのよい香りと垂直的な味の形は、ツヴァイゲルトというよりブラウフレンキッシュ的だ。パヴィスでもツヴァイゲルトが出色だった。ザーレ・ウンストルートは白はヴァイスブルグンダー、赤はツヴァイゲルトということか。

※シューフフォルタ修道院が所有していた急斜面のシュタインマイスター畑からワイナリーを見下ろす。ここにはリースリング、ツヴァイゲルト、ヴァイスブルグンダー、シュペートブルグンダー、グートエーデルが植えられている。ザーレ・ウンストルートにはかつて2万ヘクタールのブドウ畑があったそうだが、いまでは800ヘクタールしかなく、こうして眺めてもブドウ畑がほとんど見当たらない。

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シュペートブルグンダーも冷涼な香りとふっくらと甘い味わいがいかにもドイツのピノ。ちょっと樽が強いのが気になるが、あと十年ぐらい熟成すれば樽風味が溶け込むだろう。石灰岩土壌のリースリングはアルザス的で、ガッチリとして迫力がある。砂岩土壌からできるぽっちゃりとした味のリースリングもあり、好対照だ。

 興味深いのはBreitengrad51というワイン。ザーレ・ウンストルートは北緯51度にあることから命名。ピノ・グリ、ピノ・ブランのブレンドだ。樽が強くてゴツイのだが、ブレンドワインの複雑さは魅力で、単一品種ばかりのドイツでは貴重な存在だ。

とはいえ2014年ヴィンテージのワインは味が上下に分離して感じられる。「ふたつの品種のブレンドでは立体感が出ない、ブレンドの基本は3品種。ボルドーでもシャンパーニュでもそう。なぜリースリングもブレンドしないのか」、と言うと、出てきたのがファーストヴィンテージ2012年。こちらはリースリングを含む3品種ブレンド。垂直的で、味はさらに複雑でいながら統一感がある。これを一部混醸にすればさらによい結果が得られるだろう。以降の展開に期待がもてる、意欲的な若手生産者だ。 

 
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