コラム 2016.01.04

【ドイツ/ザーレ・ウンストルートのワイナリー】ザーレ・ウンストルートのヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)「クラウス・ベーメ」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
securedownload-28

クラウス・ベーメ

 ベーメさんにGDR時代の話を聞いていると、昔(といっても最近だが)は大変だったのだなとつくづく思う。土地私的所有は0・25ヘクタールで皆化学肥料を大量に与えていて収量は90ヘクトリットルにおよび、ブドウをおさめていた公営醸造所では白ワインを30度という高温で発酵していたそうだ。その時代を耐えに耐え、東西ドイツ統一後いちはやくワイナリーを設立。現在はリースリング2、ヴァイスブルグンダー3、シルヴァーナー1、ミューラー・トゥルガウ2、バフースやグートエーデル等が1の、計9ヘクタールを所有する。

※右が当主のクラウス・ベーメさん。どのワインも出来にムラがなく、優れた技量を感じさせる。

East Germany 160-min

驚いたのはバフースだ。ケルナーと並んで積極的には買わないし普通は試飲リストの中では優先順位が低い品種なのだが、「この地では重要な品種」と言うので飲んでみると、確かにおいしいし、味わいの要素間のバランスがいい。貝殻石灰岩の緊密なミネラル感や引き締まった酸が効果的だ。ベーメさんが「ザーレ・ウンストルートのソーヴィニヨン」と言うだけあり、カシスの芽やハーブやマスカットの香りは確かにソーヴィニヨン的ですっきり。同時にシルヴァネル的なまるみややさしさがあって楽しく飲める。7グラムの残糖も絶妙だ。「若い人向け」と言っていたが、これは初心者にとって確かによい入口になる。それは日本の若者にとっても同じで、こういうタイプの分かりやすくおいしくお買い得なドイツワインがもっともっと日本に入ってきてほしいと思った。

グートエーデルもいい。驚くほどミネラリーで酸がしっかりとして四角い形。グートエーデルはドイツではバーデンが有名だが(といっても十分に日本で認知され消費されているとは言えないが)、こちらのものはバーデンより緊張感のある味で、それでもこの品種ならではの淡々としてでしゃばらない節度の美学は保たれ、アルコールも低く、素晴らしいと個性だ。

※「素晴らしい内容なのにラベルがまるでスーパーマーケットのワインみたいだ」と言ったら、「実は」と、新しいラベルデザインの案を見せてくれた。旧GDR地域のワインは、ヴィジュアルを含めて着実に進化している。

East Germany 156-min

 プレステージワインといえるのがBergstein Weissburgunder Auslese Trocken。アウスレーゼといっても甘口バージョンがあるわけではなく、残糖は6,7グラム。「この地ではワインは辛口」だ。堂々として余韻が大変に長く、濃密にして高貴で、グラン・クリュの味だ。仮に世界のピノ・ブランの代表を選ぶという会があるのなら、私は確実にこのワインを候補として推薦したい。この畑に2003年に植えたリースリングのワインもあるのだが、それは石灰のリースリングの典型で泥臭くて不細工に固い。それが土地らしいと言えばその通りだとしても、ザーレ・ウンストルートでリースリングを植えるのは無駄だと思う。リースリング絶対主義から消費者も生産者も脱却しないと、せっかくのヴァイスブルグンダーがむしろマイナーな地位になってしまうし、ザーレ・ウンストルートはまずい産地ということになってしまう。

【ドイツ/ザーレ・ウンストルートのワイナリー】旧東ドイツで再考すべき現代的アプローチ「フライブルク=ウンストルート協同組合」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加