コラム 2016.01.04

【ドイツ/ザーレ・ウンストルートのワイナリー】ツヴァイゲルトの可能性「パヴィス」

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ザーレ・ウンストルート

※ザーレ・ウンストルート(Saale-Unstrut)はライプツィヒの西、ザーレ川とその支流ウインストール川流域の傾斜地に位置する。北緯51度はワイン産地としての最北に当たる。

ザクセン

パヴィス

 98年に創業という新しいワイナリーながら、あっというまにザーレ・ウンストルートを代表する存在として評価され、01年にはVDPのメンバーに。そして1085年に建てられた古い修道院の敷地を買って、05年に移転。この地のサクセスストーリーだ。

 マルクス・パヴィスさんによれば、「ザーレ・ウンストルートは伝統的にはヴァイスブルグンダー、グラウブルグンダー、シルヴァーナーの産地だが、このワイナリーは例外的に生産の3割がリースリング。そして昔は赤が3割だったが、15%に減らした」そうです。すごい父親をもった息子はなかなかストレスがあると想像するが、彼に「父親とは違うことをやりたいか、だとしたら何をどうやりたいか」と訊くと、意外や答えは「父が一代で築いて成功をおさめたワインのスタイルをそのまま継承していくだけ」。それは正しいことではある。

 ザーレ・ウンストルートはフランケンと同じムシェルカルク土壌だから、ブルゴーニュ品種とシルヴァーナーは順当においしい。ふっくら感とかっちり感のバランスがよく、最北の産地ならではの清涼な風味を伴い、どれもいいワインだと思う。しかしムシェルカルクのリースリングは、、、、。「確かに好き嫌いがあるのは知っているけど、これはこれでこの土地らしい」と。グローセスゲヴェックスであるエーデルエッカーのリースリングを飲むと、独特のゴツさとぺトロール的香りが気になり、なんでここがGLなのかと思う。パヴィスではリースリングを硅岩、砂岩、石灰岩のみっつのタイプの土壌に植え、3種類のワインを生産するが、おいしい順に言うなら、やはり硅岩、砂岩、石灰岩。それぞれ繊細堅牢、豊満軽快、剛直冷徹と、土壌の味が表現されている。人気なのは砂岩だそうだ。

 最も気に入ったのはツヴァイゲルトだ。チャーミングでいてビビッドで、ほんわかとしてデイリーワイン的なタイプが多いオーストリアのツヴァイゲルトと比べて、はるかに冷涼感があり、緊密な構成で、ブラウフレンキッシュに近い。土地と品種が合っている印象。ドルンフェルダーやポルトギーザーはツヴァイゲルトに植え替えたほうがいい。

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 ザーレ・ウンストルートは辺鄙な場所ゆえ、それがある意味幸いして、30年戦争の時にも世界大戦の時にも戦場にならず、ドイツでは珍しく11世紀から13世紀の建築が数多く残る。ワイナリーに隣接する礼拝堂も古いもので、シンプルで清らかで謙虚な雰囲気。パヴィスのワインの非装飾的な味わいの構成に共通するものがある。これがザーレ・ウンストルートらしさなのか、と思った。

※パヴィスの裏手からザーレ・ウンストルートの斜面に広がるブドウ畑の風景を遠望する。これがモーゼルなら斜面のすべてがブドウ畑で埋め尽くされているだろうが、ここではまだ拡大の余地が多分にある。

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【ドイツ/ザーレ・ウンストルートのワイナリー】ザーレ・ウンストルートのヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)クラウス・ベーメ"に続く

 

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