キャップシールを剥がした方がワインはおいしい?
ワインボトルの瓶の口は大抵がキャップシールで保護されていますが、もともとはコルクの虫食いやネズミよけとして鉛が使われていました。
現在では鉛の有害性が指摘され、ポリ塩化ビニールやアルミニウムでつくられています。大半の切り方として瓶口の下部に切り込みを入れキャップシール上部を剥がすのが主流ですが(古酒の場合コルクの状態を見るため、グランメゾンでも全て剥がしますが)、キャップシールは全て剥がした方がワインの味わいに良い影響が出るという意見があります。
現在サスティナビリティ(持続可能)農業という言葉が盛んに叫ばれていますが、歴史あるワイン産地の生産者もこの意識は強く、土に還らないアルミ製のキャップシールを嫌う声が聞かれるようになりました。ワックスキャップ(蝋封)は高級ワインのシンボルのように考えられがちですが、アルミをワインのパッケージに使いたくないという選択のひとつでもあります。
故ディディエ・ダグノーのワインにはキャップシールが使われていません。またビオディナミ・シャンパーニュの旗手のひとりでもあるエルヴェ・ジェスタンのワインの一部には紙のキャップシールが採用されています。
一部の生産者や愛好家にキャップシールが嫌われ、味わいに影響を与えると考えられ始めたのはごく最近のことです。まだまだ懐疑的な声も多く聞かれますが、私自身はワインは産地や人を映し出す媒介であるという側面があることを考えると、この意見に概ね賛成の立場です。
キャップシール問題もまた、より良いワインを産み出そうという背景のなかで表面化してきたトピックスのひとつなのではないでしょうか?