コラム 2017.03.15

フーデックスでのボルドー&ボルドー・シュペリュールのブース

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 フーデックスでもフランスは相当の数のワインブースがありました。興味深かったのはボルドーとボルドー・シュペリュール生産者組合のブースです。
 これらはボルドーの中でも最もベーシックなアペラシオンです。ボルドーというと、どうしても格付けシャトーのような高価なブランドワインが目立ちますし、それらが全体のイメージを引き上げているのは事実です。しかし同時にボルドーは巨大産地であり、この生産者組合に含まれる7つのアペラシオンのワインだけで、なんと3244222ヘクトリットル(2016年度)も生産しています。多くのボルドーは、コレクション用のワインではなく、普通のワインです。
 私は普通のワインとしてボルドーを見た時に、むしろボルドーの特質が生きると思っています。その理由は、...
1、 ボルドーは複数品種ブレンドのワインであり、ゆえに一本で多くの料理に対応する懐の広さがある。
2、 ボルドーは水辺のワインであり、しっとりした質感があるため、同じような日本の食材や料理に親和性がある。
3、 ボルドーは比較的アルコールが低いため、料理の味を支配することが少ない。
 そしてさらに、これら安価なアペラシオンのワインは、
4、 樽を使っていないものが多く、果実味が素直に出て、カジュアルな用途に向く。
 ボルドーの中級ワインといえるオー・メドック等は、どうしても目線の先が格付けシャトーに行っているような気がします。つまり「高級ワイン」のミニ版の味です。それはお買い得価格のスーツみたいなものです。これはこれで意味があることです。しかしAOCボルドーはもともと割り切っているのか、上質なTシャツやジーンズみたいな味です。「高級ワイン」ではなく、「実質的に使いやすいワイン」を目指しているように思えます。このふたつの路線の違いを認識すると、ボルドーの使いこなしがより明確に見えてくると思います。

 この委員会のPR担当Hubert Groutelさん(写真)といろいろとお話ししました。ひとつの大きな問題は、ボルドー・ブランです。何十年も前にはメジャーな存在でしたが、今では白ワインはブルゴーニュやロワールに押されています。皆さんもあまりボルドーの白ワインを飲まないと思います。「フランスでも飲まれなくなった」とのこと。そのまま消滅への道をたどっていいのでしょうか。そもそもスタイル的にロワール方向の味が増えすぎたような気がします。そしてそちらの方向ならロワールには勝てません。セミヨンとソーヴィニョン・グリをもっと復活させないといけない。地理的に考えてもロワールとラングドックの中間なのです。個人的には冷涼なラングドックという方向性をもっと追求するほうが、つまりおおらかさやまろやかさという性格と低めのアルコールとすっきり感という性格の両立を目指すほうが、ずっと使いやすいワインになると思えます。今のボルドーの白は味が固すぎです。
 もうひとつ忘れてはならないのが、生産量はたったの1296ヘクトリットル(0.04%)という少なさながら、伝統的なスタイルとして重要な、ボルドー・シュペリュール・ブランです。これは軽い残糖がある白ワイン。スパイシーな東南アジア系の料理には素晴らしい相性ですし、パーティの席などでも重宝するワインです。今回は一本も出品されていませんでしたが、もったいない。私は代表の方に言いました、「シャンパーニュのブリュットは10グラムの糖がある。なぜ誰もがシャンパーニュをおいしいと言うのか。もしすべてがノン・ドゼだったら万人に受け入れられるだろうか。10グラムは甘いとは思われない。フルーティだと思われる。それはボルドーの底辺を支えるアペラシオンにとって重要な視点ではないのだろうか」。私は昔から、プルミエール・コート・ド・ボルドー・ブランやボルドー・シュペリュール・ブランのファンです。それらは他からは得られない個性をもっています。そして使い方が理解されれば、他では代替できない存在になります。

 今回初めて耳にした情報は、2016年からロゼは黒ブドウと白ブドウのブレンドでもいいことになった、という規定の変更。白は20%まで含有できます。これは品質向上に多大な影響を及ぼします。プロヴァンスのロゼにクレーレット等白ブドウが入ることがなく、グルナッシュ等だけで造られるとしたらずいぶん重たい味になるでしょう。同じくメルロ主体では重たすぎます。ドイツのシーラーワインだって素晴らしいではありませんか。
 「これでコロンバールの正しい使い道ができた!」と言うと、「いやコロンバールはクレマンだけ。味のないブドウだし収量がとても多いからクレマンには使える」。うーむ、コロンバール単体ではしょうもない味かも知れませんが、数パーセント含めることで酸のキレが増すはずですし、全体に味の抜けがよくなってアルコールっぽくなくなると思うのですが。つまりはソーヴィニヨン・ブランがロゼに入るということになります。メルロ5、カベルネ・フラン4、ソーヴィニヨン・ブラン1のロゼとか、おいしそうですね。
 日常ワインとして使いやすいのは、息抜きの場があるワインです。オーストリアワインのところでも言いましたが、ゴテゴテとやりすぎることなく適度なところで筆をおいたワインです。ボルドーAOCやボルドー・シュペリュールAOC(特に前者)は、そこが魅力なのです。抜け感、こそがキーワードです。是非そこに着目してワインをテイスティングしてみてください。

コチラの記事は日本橋浜町ワインサロンFacebookページより転載しています。

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